No.10
No.22
ACTIVITY
カヌー・カヤックの種類
カヌーとカヤック、なにが違う?
カヌー・カヤックは年齢に関係なく、海、川、湖と、様々なフィールドで楽しめる人気のウォーターアクティビティです。ここで、ひとつ疑問なのが「カヌー」と「カヤック」の違いについて。どちらも進行方向に対して前向きに座り、パドルを漕いで前へ進むところは同じですが、どんな違いがあるのでしょう?
昔は、おもに船の形状で分けられていました。カヌーは、公園などにあるボートと同じ、オープンデッキです。一方のカヤックは、クローズドデッキ。着座スペース(コクピット)以外は覆われているので、多少の水なら船内への侵入を防ぐことができます。ただ、カヌーもカヤックも種類が豊富で、カヤックの中にもオープンデッキのタイプがあるなど、船そのものの定義は、実は曖昧。現在は一般的に、パドルの片側にブレード(水かき)が付いた「シングルパドル」で漕ぐものをカヌー、パドルの両側にブレードが付いた「ダブルパドル」で漕ぐものをカヤックと、大別されています。とはいえ、“カヌーをダブルパドルで漕いではいけない”という決まりはありませんし、どちらのパドルで漕ぐかは、好みやフィールドの状況によるところが大きいようです。
もともとカヤックは、アラスカの原住民・イヌイットや、グリーンランドの原住民・エスキモーが狩りに使用し、発展させた船。そのため、スピードを出しやすく、それぞれの乗り手の体にフィットして作られていたため、運動性能にすぐれています。また、水温が低い海で使うので、エスキモーロールなどのスキルも発展しました。対してカヌーは、北米内陸部などで川や湖を移動するために使われてきたため、荷物を積みやすく、旅をするのに適した船です。それぞれの用途の起源は違いますが、現在は遊び方やフィールドによって、カヌーやカヤックの種類を自由に選択できる時代だと言えるでしょう。
カヌーとカヤックのおもな種類。
前述の通り、いろいろな種類があるカヌーとカヤック。遊び方や遊ぶフィールドによって、使用する船が変わってきます。初心者の場合、まずはスクールやショップで体験するのがおすすめ。海、川、湖と、様々なフィールドで体験することで、自分の好みに合った遊び方が見つかるはずです。また、それぞれの種類には、扱いやすい初心者向けタイプがありますので、購入する際は初心者向けを選ぶといいでしょう。
ここでは、カヌー・カヤックのおもな種類とその特徴を挙げてみました。どんな遊びがしたいか、どこで遊びたいかをイメージして、自分にぴったりの1艇を見つけましょう。(写真提供:西沢あつし)
カナディアンカヌー
カヌーといえばまず思い浮かぶのが、オープンデッキ&シングルパドルで漕ぐこのタイプ。カナダで川や湖を渡る道具として進化してきたため、荷物をたくさん積み込めるのが特徴。旋回性能はカヤックに劣るものの、安定性や直進性にすぐれ、穏やかな川や湖をツーリングするのに適している。
シーカヤック
その名の通り、海で使うことを目的に作られたカヤック。障害物がほとんどない広大なフィールドで使うため、艇を長くして直進性を高め、スピードが出やすいデザインになっている。1人乗りで全長5m前後、幅60cmぐらいのサイズが比較的乗りやすい。
リバーカヤック
シーカヤックに対して、川を下ったり、瀬で遊ぶことを目的に作られたのがリバーカヤック。川の瀬や急流部など、いわゆるホワイトウォーターを楽しみたい人向けに設計されたタイプもある。回転性能が高く、初心者が乗るにはある程度の練習が必要。
ファルトボート
小さく折り畳める組立て式のカヤック。クルマはもちろん、電車や飛行機でも持ち運べて、家での収納にも困らないのが最大の利点。また、比較的軽量でもある。フレームと船体布(スキン)に分かれている構造上、ほかの船に比べると若干強度が落ちる部分もあり、穏やかな海や川、湖で使われることが多い。
シットオントップカヤック
オープンデッキタイプだが、カヤックの一種。スピードよりも安定性を重視したデザインが一般的で、ボトム(船の下側)が平らで幅の広いモデルが多い。カヤックのように下半身を固定されず、身動きが取りやすいので開放感があり、初心者にぴったり。また、海や湖での釣りなどに向いている。
インフレータブルカヤック
空気で膨らませるタイプで、持ち運びにも収納にも便利。値段も手頃で安定感もあるため、初心者に人気がある。安定性と強い浮力で、急流を漕ぎ下るためのモデルもあるが、ほぼ値段と性能が比例するので、そのモデルがどんなフィールドを漕ぐことを想定しているのか、見極めも必要。
カヌー・カヤックの達人:教えてくれたのは西沢あつしさん。
西沢あつし
にしざわあつし。日本唯一のカヌー・カヤック専門誌『カヌーワールド』(舵社)のプランニング、ディレクションから、写真、原稿に至るまで、ほぼすべてに関わっている。カヌー・カヤックの中でも、とくにシーカヤッキングでは多くのメディアに写真、記事を寄稿している。2004年には、カナダ観光局カナダメディア賞特別賞受賞。おもな著書に『シーカヤックで海を遊ぼう―ビギナーのためのトータルガイド―』(舵社)、『日本全国シーカヤッキング55Map』、『親子で楽しむSL旅行+撮影ガイド』(ともに山と渓谷社)。
Facebook:
https://www.facebook.com/atsushi.nishizawa.5
『カヌーワールド』編集部:
http://www.kazi.co.jp/canoe/
RECOMMEND
この記事をみた人は、こんな記事も見ています